タロウの音楽日記

日々の音楽活動に関する覚え書きです。

9月5日 ~週刊ポスト編集部に電話をする~

近頃は、
大阪まで、職業訓練のための学校に通う毎日だ。



電車通学が、割と好きである。
線路沿いのコンビニで必ず新聞を買う。
今日の駅前では、公明党の市会議員が、
ゼンマイ人形のように喋っていた。

電車の中で新聞を広げるが、
ここのところ、ロクなニュースがない。
いや、
悪い記事なら、まだマシなのかもしれない。
話題の、週刊ポストの広告、

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が、目に入ってきたときは、息が止まったものだ。
(9月2日の京都新聞
3日間、
悶々としていたが、
やはり、週刊ポストに電話で意見することにした。



通学の身なので、
平日に時間がない。
仕方がないので、
学校の昼休憩の一時間を使うことにする。



まあ、意見というよりは抗議である。
好き好んで、
抗議の電話をする人間がいるだろうか?
気が重いコトこの上ない。
出来ることなら、
机に打っ伏して寝ていたい。
少しでも休憩して、疲れを取りたい。

人前では気が散るので、
コンビニの、イートインを探すが、
何処も満員だ。
さすが大阪。
精一杯、迷惑にならない場所をと、
配慮した結果、
路地裏の、ビルとビルのすき間の、
何とも言えないスペースに、
陣取ることになる。
自分のスマホで、
ネットで調べた、
週刊ポスト編集部の電話番号を打つ。

びびっている。

あのような見出しを、企画する編集部。
鬼畜のような人間が出てきたらどうしよう。



「はい、週刊ポスト編集部です」

抗議が殺到して、
回線がパンクしているのでは?
と思ったが、
すぐに繋がった。

(本当に、週刊ポストの編集部だ!)と思う。

電話の向こうには、
テレビドラマに出てくるような、
出版社のオフィスビルの風景があるはずだ。

「私、京都に住んでいる〇〇太朗と申します」自己紹介をする。

「…はい」
生返事だが、よく通る男性の声だ。
心当たりの無い名前だ?
と、いった感じの反応だ。

「お忙しいところ、すみません。今週発売の週刊ポストさんの、今話題になってますね。広告の見出しついて意見したいことがあって、お電話させてもらいました」

私は緊張したまま言った。

「は…はい」
と、男性の声のトーンは神妙になる。
意外だった。
きっと、
高圧的な対応だろうと思っていたから、
おかげで、
少し緊張がほぐれた。

「大切なことなので、出来れば、編集長とお話しさせて頂きたいのですが、可能でしょうか?むしろ、小学館の社長さんが出てこなければいけない程の、重要な話だと思うのですが、せめて編集長さんと思いまして」私は言った。

「…それは、不可能です」男性は言った。

それ以上は突っ込めず、
私はまず、
この男性に、
一通り思うことを、
なるべくすっきり、喋ろうと思った。

記事は読んでおらず、
広告の見出しへの抗議であること、
中でも、
「10人に1人は要治療、怒りを抑制できない韓国人という病理」
という見出しは、
常軌を逸している、
私は日本人だが、
私には、
コリアンの友人、知り合いは、
子どもの頃から今に至るまで、
たくさんいるが、
見出しのようなことがあり得ないのは、
普通に生きてて、
当たり前にわかること。
広告は、
電車内、新聞と様々な場所で目にする。
もし、
この広告を日本にいるコリアンの、
子どもたちが見たら、
一生心に消えない、トラウマになるかもしれない。
過激な人間が、
暴力をふるうきっかけになるかもしれない…等。

電話に出た男性は、
終始「はい」「はい」と、
神妙な調子を保って返事をしている。
要領良く、
取りつくろっている様には、聞こえない。

私の方が、
ほとんど一方的に語っていた会話の、
わずかなすき間に、
男性は、

「ここは、週刊ポストの編集部に繋がっているので、そういったことは、小学館の広報の方へ言って頂いけないでしょうか?」と言った。

「何故でしょうか?私の友人が、同じような思いで、小学館に電話をしたら、この週刊ポスト編集部の番号を案内されたそうです。週刊ポストさんの書かれた記事だから、編集部に、お伝えするものではないでしょうか?」

私がそう言うと、
男性は困って沈黙した。

深い意味など、無いのだろう。
私も、客商売をしていた頃があり、
クレームの電話を受ける立場だったことがある。
受ける立場なら、
余所に言ってくれと思う。
だが、私は商売上のミスや理不尽にクレームを入れているわけではなく、
ヘイトに抗議しているのだ。

「あなたは、私が言ったことをどう思います?もし、コリアンの方や、子どもがこの広告を目にしたら」私は言う。

「個人の意見は、言えないです」男性は言う。

「どうしてですか?」

…男性が、何と答えたのか、
よく覚えていない、
と、いうより理解できなかった。
テープを回すつもりなどなかったから、
意味が不明だと、記憶に残らない。

週刊ポストのことを、自分が代表して言える立場ではない)

男性は、そんな風に言った気がする。
要するに、
この男性には、
組織の論理の圧力が、働いているのだろう。

私は、
週刊ポストの方ですか?」と尋ねた。
「はい」
「ならば、週刊ポストのことを言っても良いのでは?単純に」
「その立場に無いんです。返事できるものに代わります」
「あなたで良いですよ、あなたの意見が聞きたいんです」
「…返事できるものに、代わります。どういったことをお伝えしたいのか、もう一度言って頂けないでしょうか?」
「今、言っていたことです」
「今、言っていたことは?」
「今、言っていたことです」
「それでは伝えようがないので」

「もう一度、同じことを言ったら良いですか?」

私は、
努力して最初に言ったことと、
ほぼ、全く同じことを言った↓

『記事に関する抗議ではなく、
広告の見出しへの抗議であること、
中でも、
「10人に1人は要治療、怒りを抑制できない韓国人という病理」
という見出しは、
常軌を逸している、
私は日本人だが、
私には、
コリアンの友人、知り合いは、
子どもの頃から今に至るまで、
たくさんいる。
見出しのようなことがあり得ないのは、
普通に生きてて、
当たり前にわかること。
広告は、
電車内、新聞と様々な場所で目にする。
もしこの広告をコリアンの、
子どもたちが見たら、
一生心に消えない、トラウマになるかもしれない。
過激な人間が、
暴力をふるうきっかけになるかもしれない…等』



ほとんど待たずして、
人が代わった。
今度こそ、
とんでもない鬼が出てくるのでは?
私は、また恐怖した。

週刊ポスト副編集長のHです」

先程の男性以上に神妙な声だった。
「え…?何さんと仰いました?」
副編集長とは聞こえたが、
名前の部分の声が小さく、
聞きとれなかった。
「Hです」
「Hさんですか…わかりました。〇〇太朗と申します。今週の広告の見出しについて意見したいことがありまして…」

何度でも同じことを言うつもりだ。
しかし、
休憩時間の終わりが迫ってくるのが、気になる。

「激動の日韓情勢について、様々なシュミレーションを行うのが記事の趣旨でした。しかし、ご指摘頂いた点、韓国をまとめて論拠するといったところは、誤解をまねく表現であり、配慮が足らなかったと思います…」

副編集長だからと言って、
ズバズバと喋るというわけではなかった。
先程の男性と同じように、言えないことの方が多いようだった。
それにしても、
【韓国をまとめて論拠すること】が、誤りであるなど、
私もうまく言い表せないニュアンスを、
週刊ポストの副編集長が、
言葉として、持っていることに、
妙な感じがした。

「お詫び文は出されていましたよね。誤解をまねくとか、他のご意見と合わせてとか、正直、取り繕ったようにしか見えないんですよ。あの見出しは誤解しようがない書き方でしたよ。そのまま取るしかないというか…うまく言えませんが」

「あのお詫びは、週刊ポストの総意ということで出させて頂きました。真摯に受け止めさせて頂くよりないと思います」

H副編集長の言うことは、よく理解できなかった。

私は、
様々な言葉で持ちかけてみたのだが、
結局は、
「誤解をまねいた」「配慮が足らなかった」「真摯に受け止める」
といった、慣用句に終始してしまうのだった。
だが、
H副編集長の口調は、
まるでロボットの様だというわけではなく、
まぎれもなく、血の通った人間の物だった。

私はそこに賭けてみたかった。

「Hさん、お子さんはいらっしゃいますか?」
失礼な質問をした。

「…私ですか?おりません」

H編集長は、
戸惑いを隠さず答える。
非道な質問には、戸惑って当然だ。
何と人間らしいかことか。

「失礼なことを聞きました。いろんな人に対して失礼ですね。今、言ったこと後悔してます。子どもがいれば、想像しやすいかと思ったんです…そうですね。私が、一番お聞きしたいのは、もし、コリアンの少年や少女、それに限らず子どもが、広告を電車内や新聞で見たら、どういう気持ちになるか?Hさんは、どう思われるのか?それが聞きたいんです」

「子どもに限らず、様々な方が見られると思います。配慮に欠けていたと思います」

「Hさん、もし子どもが見たらに限って、答えて頂きたいです。多分、私はそれが一番聞きたいんだと思うんです。重要だと思うんです」

「配慮に欠けていた。お詫びしなければならないと思います」

「あのお詫び文で、充分だとお考えでしょうか?」

週刊ポストの総意です。真摯にご意見を受け止めたいです」

堂々巡りが続くのだ。

「Hさん、私が聞きたいことはシンプルです。もし、子どもがあの広告を見たらどう思うか?Hさんの考えが聞きたいんです。人間対人間で喋りたいんです。無理に謝らなくとも良いのです。広告が正しかったと思われるなら、むしろそう言って頂きたいんです」

私は、こうなったら、
露悪的になってやろうと思い、
なおも言葉を続けた。

「私は汚な~い人間ですよ。週刊誌は、キレイごとや無いゆうのもよく分かります。ゴシップやエロ記事も、大好きです。韓国も、ムンジェインも別に好きではないです。嫌いなくらいかも、知れません。ムンジェインを叩いても、面白いと思いますよ。今週の文春みたいに、叩いてください。でも、ひとつの民族を、丸ごと叩くのはヘイトです。一線を越えてます。Hさん、あの見出しを子どもが見たら…」

どうやってかわし続けていたのかな。
どのように問い掛けても、
Hさんには、
自身がどう思っているのか、仰って頂けなかった。
絶望的な平行線だった。



結局、
話が、終わりに差し掛かかることになったのは、
イムリミットの為だった。
休憩時間が終わる。

私は、H副編集長に、
検証記事を書いて、
時間をかけて廃刊に持っていた方が良い、
長年愛読していた、
金ヤン(金田正一)の巨人キャンプ訪問記事など、
大好きだったので、
廃刊したら、
残念だがと伝えた。

それにしても、
ヘイトを出してしまった雑誌の、
責任者に近い人物が、
エリート然とした紳士的な物言いと、
知性的な声を持っているという事実は、。
一体何なのだろう?と思う。



最後に、私はHさんに伝えた。

「このやり取りを、ブログに書きたいんです。よろしいですか?あ、私何でもない人間です。私が書いたブログなんて、友人くらいしか読みません。Hさん、お名前は…出さない方が良いですよね?」

「そんなことはないです。何かを書かれるということに大して、その自由をこちらが制限するのは違うと思います」

「そんなことはないですよ、Hさん。プライバシーの問題ありますからね。何かを書くというのは、書く方が配慮をすることなのだと思います。やはり名前は出しませんよ」

「………」

そう、表現の自由なんて、
私には要らないのだ。

「貴重なお時間を頂いて、ありがとうございました」
と互いに言い合って、
電話を切った。
虚しかった。
何処へも行きつかず、
着地点の無い、このやり取り。



休憩時間をギリギリまで使い果たし、
私は小走りで、
学校へと戻った。
天気予報の通り、
雨がパラパラと降ってきて、
この後、どしゃ降りになった。
私の心もどしゃ降りだった。

でも↓

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雨上がりに、虹は出ましたけどね。