人は何のために生きるのか?
最近は就職して、
5歳のムスメの保育園の送り迎えも、
休日くらいしか行かなくなってしまった。
そんなたまの、
送り迎えで、
主夫時代の友達に会えるのが、
嬉しい。
この間、
貴重な存在である、
唯一のパパ友に会い、
自分が就職したことを報告した。
育休中の彼に、
「仕事と今、どっち良い?」と尋ねて見ると、
「どっちもイヤ」
とのことであった。
…なるほど、当然の答えかも知れない。
自分は今、
誰もがそう思うように、
イヤイヤ仕事に行っている。
そして、
主夫時代の家事育児のイヤさも、
決して忘れていない。
どっちもイヤだ。
当たり前だ。
何故わざわざ、
「仕事と今、どっちが良い?」
などと、尋ねたのだろう?
パパ友によると、
「確かに精神的なストレスは、今の方が少ないけど」
ということだった。
では、仕事で感じる、
一番の精神的なストレスとは何かという話になり、
「アホらしい人間関係の所為で、進む仕事が進まないのがイヤだ」
と、
お互いがそういう結論になった。
確かに、
本来、
崇高な心意気でやるはずの仕事が、
つまらない人間関係のために、
進行しないというのは、
よく思い当たることだ。
と言うより、
今まで経験したすべての仕事はそうだった。
この、普遍性。
精神的ストレス。
ストレスからは、なるべく逃れたいものだ。
してみると、
人は、
人間関係の緊張から逃れるために生きている。
なるべくなら、
穏やかで優しい心を保ちたい。
そのためには、
精神的ストレスから来る緊張ではなく、リラックスが必要だ。
保育園の前で、
長々と立ち話をしていては、
近所迷惑なので、
ほんの数分の、パパ友との邂逅の後、
自分はひとりでコンビニに行く。
人生で一番の幸せを感じるときだ。
馴染みのコンビニには、
なぜか大量の自己啓発本が置いてある。
(といっても、普通のローソンなのだが)
手にとって見ることはなく、
背表紙だけぼんやり眺めていると、
「あなたの人生に、イヤなことのために使う時間はない」
とか、
「考え方をほんの少し変えるだけで、あなたは完全な自由を手に入れることができます」
とか、
「好きなことだけして、生きていく」
とか、
うる覚えだが、そんな感じのコピーが溢れている。
(昔は、こんなテイストの本は、あまり見かけなかったなア)
と、思う。
昔の本屋のハウ・トゥーコーナーには、
会社のややこしい人間関係を、
いかに切り抜けていくか?
が、テーマの本が多く並んでいたような気がする。
人をAタイプ、Bタイプ、Cタイプと、
様々にイヤらしく分類し、
コイツはこの場面でこんなだから、
こう対応する…
良くも悪くも、
人に対して戦略的であり、
関係をどうにかすることに、
重点が置かれていた。
ところが今は、
人間関係そのものの否定だ。
つきあう気がない。
あなたの完全なる自由のために、
バカは相手にする必要はない、
と、いうスタンスだ。
不思議に思うのは、
学校だろうが、職場だろうが、
「コイツさえいなければなア」
と、いう目の上のタンコブなる人物は、
必ずひとり存在する。
コレから逃れたことは、
人生で一度もないし、
この先もないだろう。
なぜなら、
自分も必ず他の誰かから、
「コイツさえいなければなア」
と、思われているからだ。
所詮、人間関係のややこしさからは、
逃れらない。
売れる薬の絶対条件は、
効かないことである。
人が、
人間関係のややこしさから、
逃れられないことが決定しているのなら、
効果よりも夢を見させてくれる、
自己啓発本は、
同じことが書かれていても、
必ず売れ続ける。
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これほどまでに、
自己啓発本をよく見かけるのは、
今の政権の影響もあるのかな?
と、思ったりもする。
現政権の(2018年11月)
安倍内閣は、
歴史の帰結の上、
強引で、独裁的で、差別的な運営を、
多目に見てもらえる立場を、こしらえた。
政権そのものが持っている、
排他性がかなり高く、
建設的な議論を交わすことは難しい。
長期政権の爛熟で、
腐敗や汚職もかなり進んでおり、
生理的な嫌悪感も感じさせるから、
政権側もそれを嫌う人も、
互いが、
関係性を作ることに熱心ではない。
まるで、関係性廃止内閣だ。
しかし、
ここまで、
物事を自由に取り決めする内閣も、
初めてだというにのに、
張本人たちは、
少しも自由を感じていないように見える。
「どうして自由になれないのだろう?」
と、思っているフシすらある。
ひょっとしたら、
安倍内閣の面々は、
自由になれない悩みを解決するために、
もっと自由になるために、
自己啓発本を、愛読しているのかもしれない。
そういえば、
自己啓発本の隣には、
必ずヘイト本が置いてある。
この2種類は、まるでセットのようになっている。
ヘイト本は間違いなく、
安倍内閣独特の差別性、排他性にその存在を許されている。
(自己啓発本とヘイト本しか、売れていないのか?今は)
自分は苦々しく、そう思う。
現政権のもつムードというのは、
庶民ひとりひとりの、
行動嗜好や考え方を作り、
ささやかな本屋の店先にまで、
影響を与えているのだ。
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とはいえ、
コンビニの本棚を、政治に結びつけることは、
大したことではないし、
あまり意味がない。
人間関係のややこしさで、最も重要なのは、
仕事や政治でなく、
恋愛もしくは結婚なり、親友なり、
親きょうだいであり、
一番近しい関係こそが、である。
そして
職場や学校の人間関係同様に、
「この人の中に、この部分さえなかったら良いのに!」
と、
近しい相手の中に邪魔な要素を発見するのは、
誰しもにあることだ。
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いろいろ考えても、
もし本当に、
人間関係に疲れ切ってしまったら、
そこからは、逃げるしかない。
ボクも逃げた。
もし、ややこしい人間関係や、
因習、
厳しい勉強や仕事に耐え、
頑張っている人がいたら、
それは…
ボクと一緒に頑張りましょう。